読んだ本や考えたことについて、公開を前提としてブログを書くことにした。Hatena日記は一部の人にのみ公開されているが。
古田亮著「俵屋宗達 琳派の祖の真実」(平凡社新書518, 2010年)を読んだ。著者の主張はおおざっぱに言うと、宗達を琳派に入れるな、宗達は別格、その現代性は抜きんでている、その絵画史上の位置づけはマチスと比較すべきもの。
とても感慨深い論考だった。日本絵画とか琳派とかそういうちまちました枠組みを超えた絶対的な価値観の中で位置づけられる仕事をしたのが宗達だ。
光琳を再発見した明治日本、そのとき、西洋では宗達がもっとも高く評価されていた。それが再輸入されて大正、昭和、そして現代の日本での宗達評価につながった。象徴的な展覧会は、1951年上のの国立博物館でほとんど同時開催された「宗達・光琳派」展と「あんり・マチス」展。それらを観た安田靫彦の感想:
宗達展を一番に見せたいの人はマチス翁であって、その人の感想をききたいとおもうのである。
そして、狂喜して毎日見に行ったという小倉遊亀の感想:
「西洋の人たちは日本の浮世絵ぐらい見て感嘆しているでしょう。私、この大展覧会をマチスに見せてあげたくてね、マチスのとこへ電報うとうと思った。」「身にいらっしゃいって。」