物理屋の不定期ブログ

読書感想を中心とした雑多な内容のブログ。拙著「量子力学」に関係した記事も含む。

米映画「The Reader(愛の朗読者)」

7,8年前飛行機の中でたまたま観た映画。おもしろくなければ他のを、と考えていたのだけれど、ぐんぐん引き込まれて2時間以上のこの映画を最後まで観てしまった。ヒロインのハンナ・シュミットを演じていたのは、1975年生まれのKate Winslet。これでアカデミー主演女優賞を得ている。原作者はドイツフンボルト大学法学部教授Berhard Schlink。原作は世界的ベストセラーだそうだ。ナチ犯罪に関わった、いや、関わらざる得なかった戦前のドイツ市民、市井の人々、その人たちと深く関わって共に生き、生活する戦後世代がそのような市井の人々の犯罪を裁くことの意味、不条理、欺瞞。ハンナ・シュミットユダヤ人大量焼死の責任者でその証拠にその報告書を書いたとされ終身刑を受けるが、実は文盲であった。読めも書くこともできない。さらに、この映画では、年齢の離れた男女の間の恋愛が描かれており、しかも50年以上もの時のながれを描いているために、人生の意味を、短さを考えさせずにはおかない。出所する日に自殺したハンナ・シュミットの人生は何だったのか?なぜ自殺したのか?何に絶望して?この映画を見終わった後何時間もこの映画のことが頭を離れなかった。