物理屋の不定期ブログ

読書感想を中心とした雑多な内容のブログ。拙著「量子力学」に関係した記事も含む。

海外美術館所蔵の日本美術、廃仏毀釈

10年近く前、大阪天王寺にある大阪市立美術館で鑑賞したボストン美術館所蔵の日本美術の展覧会は衝撃的だった。長谷川等伯光琳若冲、そして蕭白蕭白の巨大な雲竜図には度胆を抜かれた。また、大胆でスピード感のある筆致の商山四皓図屏風にも感銘を受けた。呼び物の平治物語絵巻のうち三条殿夜討巻は、火炎や兵士群像そして生々しい殺戮の場面などたいへんな迫力だった。

 我々のご先祖様、凄い!、としか言いようがない。全体として遠出をしたかいがあった。
 これだけの日本美術の至宝がボストン美術館にコレクションとして残ったのは、ビゲロー、フェノロサ、そして岡倉天心の功績である。明治新政府とファナティックな国学者たちによる廃仏毀釈運動のため、各地の寺に保存されていた仏像はをはじめ多くの様々の美術品までも廃棄されていったのだった。その価値を認め、保存に奔走したのがこれらの人たちだ。

 これらの人たちが個人レベルで保護したこれらの美術作品だけでも、我が国の文化史のイメージを変えるほどのインパクトがある。廃仏毀釈で破壊、破棄された美術品はたぶん膨大なものであったろう。それらがが残っていたら、と思うと気が遠くなるほど残念でならない。

廃仏毀釈を発想し推進したイデオロギーに興味が湧く。宗教的な意味もさることながら、そのような軽薄で愚かで極端な行動を取る心理的原因を見極めたい、というのが私の長年の希望である。