NHKラジオ
王朝日記の世界Ⅱ 紫式部日記(21)
がすばらしかった。私は深く深く感動した。
紫式部は日記の中で、自分のライバルたち、和泉式部、赤染衛門、そして清少納言の批評をしている。その主なターゲットは清少納言。驚くほど凄まじい批判ぶりである。彼女のような軽薄な人間が落ちぶれてみじめな晩年を過ごしたのは当然だ、と読める文で終わっている。
これで終わったのでは少々後味が悪いなあ、と思っていたら、講師の島内啓二さんは、明治時代に跳び、樋口一葉の清少納言の批評(「さをのしづく」https://www.aozora.gr.jp/cards/000064/files/4380_14361.html)
紫式部のように道長のような大物の後ろ盾があるわけではなく、また結婚もし歴史に残るような才女の娘がいるわけでもない清少納言。我が境遇への哀しみを内に秘めながら、自分の才覚だけで必死に平安の時代を健気に生き抜いた女性、それが清少納言なのだ。
父親が早く死に、師匠との恋に破れ独身のまま女手一つで明治という男中心の社会の荒波の中で家族を守り行肉ために必死で闘った一葉だからこそ、清少納言をこのように深く理解し評価できたのだろう。島内啓二さんの最後のことば: