物理屋の不定期ブログ

読書感想を中心とした雑多な内容のブログ。拙著「量子力学」に関係した記事も含む。

2018-01-01から1年間の記事一覧

漢文の思い出

母が詩吟をやっていた影響なのか、漢文が好きだった。高校で杜甫の「春望」を習ったときは、母が吟じてくれたりした。母は私の漢文の参考書を見て、絶句や律詩の説明がとても勉強になると、私よりも一生懸命読んでいた。詩吟の生徒を持つようになり、吟じ方…

量子力学と古典力学における時間反転の微妙な違い

量子力学においてもニュートン力学と同様時間反転不変性が成り立つ。古典力学ではニュートンの運動方程式が時間について2階なのでt-->-tの変換に対して不変である。これは次のことを意味する: A) r(t)が解(自然界に実現する)なら、r_{rev}(t)=r(-t)も解で…

量子力学の摂動論とフレドホルムの交代定理

いきなりあまり馴染みのない「フレドホルムの交代定理」とか言われると何のことかと思うかもしれないが、これは連立方程式が一意に解けたり不定な解をもつ場合を場合分けする話である。 中学校で習う1次方程式 3x=2 の解はx=2/3 である。それでは、文字にし…

「独法化」の中で要請されるパフォーマンス的「おもしろい研究」とM.ウェーバーの描く「職業としての学問」の姿

京大経済学研究科教授の依田高展さんによると、最近大学上層部からやたらと「面白い」を押しつける風潮があるらしい。依田さんによれば、これは %%% 「面白い」をはき違えており無理・無駄なことだ。真の面白さは不断・普段のつまらない日常の中で曇天から太…

2003年「大学改革」されてしまう前の私の意見

以下の文章は、2003年、国立大学が「法人化」される前に書いた私の見解である。「大学改革」の具体的内容ではなく、その主体となるべき学問研究のプロ集団たるべき大学人の力量と見識についての感慨になっている。ここで披瀝したobservationの内容と悲観…

1970年代のある教授の新入院生向け講演

私の先生(玉垣良三先生:故人)が40年ほど前に物理の新入院生向けに講演を行った。部屋の整理をしていたらそのとき取ったメモが出てきた。読んでみると、今でも学生だけでなく現役の研究者にも役立つと思われるとてもいい内容だ。このまま埋もれさせておくの…

風花

「俳句歳時記第四版増補冬」(角川学芸出版編;角川ソフィア文庫)によると、 風花とは、冬晴れの日に、青空から舞い降りる雪片のこと。 リハビリで行っている自転車こぎの途中ふと顔を上げると、青空を背景に広い窓の向こう一面に雪が舞っている。「風花だ…