物理屋の不定期ブログ

読書感想を中心とした雑多な内容のブログ。拙著「量子力学」に関係した記事も含む。

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

くりこみ群法と包絡線:最近のStrogatzのYouTube講義

驚いたことに、ごく最近、著名な応用数学者でベストセラー作家でもある米国コーネル大教授のSteven Storogatz氏のYouTubeでの人気講義で私の1995年の論文 Geometrical Formulation of the Renormalization Group Method for Global Analysis | Progress of T…

母がなくなって10年:法事のお経の思い出

10年前の4月28日に母が亡くなった。2011年の6月初めに四十九日の法要があった。母のことを書き出せばきりがないし、ここではそういう母への個人的な想いを書く場所ではないだろう。以下では、そのとき法要の様子を観察して分かったことや考えたことを書いて…

お寺の子弟の院生との会話の思い出:「他力本願」、法然と親鸞、明治維新

10年ほど前、私の主催する理論物理の研究室に得度もしているお寺の子弟の院生がいた。彼は、すでに法事では檀家回りを手伝っている一人前の僧侶でそのうち浄土真宗のお寺を継ぐことなっている、とのことだった。お浄土は西国にあるというから彼の名前を仮にW…

1970年代初頭のK大学教養部代議員大会の思い出

60年代と80年代後半に生まれた私と同じ大学出身の物理研究者と話していると、どういう話の流れか、彼らが60年代から70年代にかけての「学生運動」を活字でしか知らないことが分かった。それでは、と私の実体験を語り出したら長い話になってしまったことがあ…

E・H・カー「新版 カール・マルクス」(未来社、1998)覚書

以前ブログか twitterで、 E・H・カー著「カール・マルクス」 が、「マルクス主義」がマルクスの若いときに構成された未熟な思考体系である、と明快に批判している、という記事を読んだ。そこで興味がわいてすぐに図書館から借りてきて読んだことがある。こ…

海外美術館所蔵の日本美術、廃仏毀釈

10年近く前、大阪天王寺にある大阪市立美術館で鑑賞したボストン美術館所蔵の日本美術の展覧会は衝撃的だった。長谷川等伯、光琳、若冲、そして蕭白。蕭白の巨大な雲竜図には度胆を抜かれた。また、大胆でスピード感のある筆致の商山四皓図屏風にも感銘を受…

岩波「世界」、「朝日ジャーナル」の想い出:桑原武夫、加藤周一、丸山眞男

学生時代から30歳になったころまで岩波書店発行の月刊誌「世界」を定期購読していた。そのころよく読んだ常連の寄稿者は桑原武夫、丸山眞男(真男)、加藤周一そして伊東光晴らであった。 私は桑原武夫は偉い人だと思い私淑した。その後、岩波から出た10巻の…

P.A.M.ディラック、`The Strangest Man'

ディラックの伝記 https://www.amazon.co.jp/gp/product/0465022103/ref=dbs_a_def_rwt_bibl_vppi_i1 を読んだのはもう11年も前だったでしょうか?新聞に書評が出ていて、後で書くようなディラックの人格(発達障害の可能性)についての興味深い「見立て(obs…

12年前の「新型インフルエンザ」パンデミック

2009年の5月1日の日記に以下のようなことが書かれていた。全然記憶に残っていなかった。 %%%%以下引用%%%%% 警告レベルがフェーズ5に上がり、各国で人から人への感染が広まっている。終に、大学から通達。感染者の出ている国への渡航取りやめを強く勧める。…

漢文と長唄:母と祖父の想い出

私は逆まつ毛がある上にドライアイなので、パソコンを使う仕事を長時間やっていると目が使い物にならなくなる。若い頃はその上乱視がひどくて、体は元気なのに眼性披露で何もできない、ということもあった。乱視の方はコンタクトレンズにして問題がなくなっ…