物理屋の不定期ブログ

読書感想を中心とした雑多な内容のブログ。拙著「量子力学」に関係した記事も含む。

西田太一郎著「漢文の語法」 (角川ソフィア文庫 )

#西田太一郎著「漢文の語法」 (角川ソフィア文庫 ) を買ってしまった。解説:齋藤希史、校訂:齋藤希史田口一郎東大教授。

 

 

高校時代漢文が好きだった私は1回生のときに司馬遷の「史記」を読んでいくという西田先生の漢文の講義を受講した。そして、試験も受けて「良」ではあるが、一応単位も取った(試験問題には五行ほどの白文を読め、という問題もあった)。西田先生はすでに還暦を過ぎておられたと思う。
 
講義では、西田先生の京ことばにまず強い印象を受けるとともに、途中からこの先生はそうとう学識のある人だ、ということがうすうす感じられてきた。それで、後期の試験が終わってから(!)、高校時代推薦され購入していた「角川漢和中辞典」に加えて、先生が唯一推奨できる漢和辞典として言及された小川環・西田太一郎編の「新字源」も、その先生のことばを重いものと考え購入したのだった。
 
 この「漢文の語法」は齋藤希史氏の解説によると1200以上ある文例の過半数が「史記」から取られているらしい。つまり、西田先生はそれほどまでに「史記」を深く、深く読み込まれ研究されていた、ということ。そのような深い研究に基づいた講義を1回生の我々は聴講できるという贅沢な経験ができたということである。高校の漢文しか知らない私にも先生の学識の深さは自ずと知れたというのも当然のことであった。